秋の石徹白巡礼 2

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K-1 mark2 / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR

 石徹白集落に到着したのは18時。
 そう、まだ、たかが18時だったんですよね、考えてみると。
 ここでは時間が180分ばかり前倒しで進んでいるのではないかと感じました……。

 石徹白集落の突き当りに構える白山中居神社から、さらに7キロの林道を進んで行きます。
 土砂崩れで頻繁に通行止めになる道ですが、今回は無事通れます(石徹白土建さん、いつもありがとうございます)。

 ……いや、それでもこういう道。
 舗装こそ切れませんが、ノーガードレールで、片方は石徹白川の急流。
 時速20キロくらいで時間をかけて走っていきますが、途中で嫌なもん見ちゃった。

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 7キロ先にはこれがあります。白山登山者のための駐車場。
 駐車場には違いありませんが、試しに車の外へ出てみると、真の暗黒です。
 真っ黒い海の中にぽつんと自分の車が孤島のように浮かんで見える。

 雨はまだ降り続いており、背後からはどうどうと川音が轟く。
 それ自体に質量があるのではないかと疑うような、息苦しくなるくらいの暗黒。
 自分の感覚がどんどん鋭くなっていくのがわかります。
 少なくともある程度の歳になってからの日常生活では体験したことのないレベルの暗さに、ちょっと怖くなって車中に逃げ戻りました。
 ドアを開けたのはほんの数秒なのに、大小さまざまな昆虫さんたちが、さも自分の部屋と言わんばかりに侵入していました。 

 さっきの道中では嫌なもん見たし……いや、オバケじゃないんですよ。子熊。
 いや、いくら僕でも子熊さんは怖くないですよ、怖いのはおかあさんの方ですよ。

 しかし、ご存じですか……まだ19時です。
 車中泊の夜が長いのはいつものことですが、まだ寝るわけにもいかない。
 ちょうどよく雨音が弱くなってきたので、カメラと三脚をつかんでまた外へ。
 暗黒は怖いですが、反面、あのぞくぞくする感覚をもっと味わっておきたいと、自分の本能が言っている気がしました。

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 車内の明かりも消し、手元のライトも消す。
 数分じっとしていると、徐々に目が慣れてきます。
 雲が流れると……あまりに明るい星空に絶句しました。

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 なんだこの星空!?
 天体を撮る心得がないので全然ダメですが、それでもこんな風に写る。
 肉眼では、本当に感動するくらい無数の星がばらまかれた空です。

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 雲がどんどん流れ、また雨も降り出す。そしてまた気まぐれに星を見せつける。
 こっちは完全に踊らされて、できるだけの浅知恵を試みる。
 5分間バルブを仕掛けてみると、星は円を描いて流れていきました。

 あの暗闇の中の5分が長いこと長いこと……。
 肉眼も慣れるもので、車外に出た瞬間と比べたら暗視スコープ並みに見えていたんですが、それでも背後から闇に(あるいは熊に)呑み込まれるんじゃないかとソワソワしっぱなし、しかしそれゆえの高揚感が常にありました。


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 ……そんなこんな、ここでしかできないような体験をいくつもさせてもらいました。
 気温は12℃くらい。雨雲のせいでさほど下がらなかった印象。
 北海道で使った厚い寝袋が心地よく、疲れもあってか、7時間半も眠ってしまいました。
 本当に深くて気持ちいい睡眠でした。

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 早朝、こんな風景だったのね……と、改めて見渡すと、駐車場にはいつの間にか車が増えています。
 ここは本来、白山に登山される方のスタート地点なのです。

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 こちらもいそいそと支度をし、出発することにしました。
 肌寒く、昨晩のまとまった雨であちこちびしょびしょなので、下だけ合羽を履くことにしました。
 膝をついて写真を撮るし、結果として良い判断でした。

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 白山に登る人からは笑われてしまうでしょうが、大杉に至る420段の石段がけっこう毎度ツラい。
 トレッキングポールはやっぱり必需品ですね。それだけでだいぶ違う。
 息を切らしつつ登りきれば、「石徹白の大杉」に念願の再会です。

(つづく)

2コメント

RYO-JI  

はぁ、子熊さんですか!
やっぱりいらっしゃるんですねぇ、そのエリアは。
その影に怯えつつも、真っ暗闇を楽しんでいらっしゃる臨場感が伝わってきます。
こっちまでゾクゾクしてきましたもの。
まさかそこで夜を明かしていただなんて驚きで、車中泊未経験の自分にはハードル高過ぎです。
よって日が昇ってから安心できる時間に突撃することにします(笑)。

2019/10/22 (Tue) 21:03 | EDIT | REPLY |   
狛

狛  

RYO-JIさん>
ありゃあサルじゃねえよなあ、明らかに。と。
本当、口の中に闇が入ってくるんじゃないかと思うくらい(言い過ぎ)とにかく暗いんですよ!
それゆえに自分の感覚が鋭くなっていって、見えないものまで見える気がしました。
大っぴらに勧めるわけにはいきませんが、自分はまたあそこでぜひ夜を過ごしたいです。笑

2019/10/23 (Wed) 09:12 | EDIT | REPLY |   

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