四国巨樹探訪旅 四国秘境の車旅(そして巨樹)

shikoku2149.jpg
K-1 mark2 / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR

 念願の「杉の大杉」訪問から始まった徳島への戻り足での巨樹行。
 四国山地に南から乗り入れるような感じで、山深い集落を転々と訪ね、個性派ぞろいの杉を訪ねる旅になりました。
 旅路を振り返りつつ、各記事には使わなかった巨樹写真を掲載しようと思います。
 長くなりますが、スペシャル版ということで。笑

 それにしても……ここはどこなんだよ。
 ものすごいところ、と、平野民にはそれくらいしか言葉もありません。

shikoku2154.jpg

 役に立たない地図を交えて解説していこうと思います。
 いや、どうせ、今回の四国巨樹探訪に関しては、ろくな道案内はできないんですよ。
 現地から質問して頂ければ、「あー、そこは確かこうだったと思う」的な貧弱コールセンターくらいならできるかも、とか、そのレベルです。
 まあ、こういうところでもgoogle mapでどうにかこうにか取っ掛かりを見つけられるんですから、現代情報化社会はほんとすごい。

shikoku2158.jpg

 道一本入るとすぐにこんな感じです。
 このままずっとすれ違えない。
 あなたとわたしは向かいあったまま、逃げられない。
 いえ、そうね、舗装してあるだけマシよね。

 ……そんな、サツバツとした道を登って行きましたよね。

shikoku2159.jpg

 杉林を抜けると、ただ「高台」というには切り立ちすぎな集落に出ました。
 道幅は相変わらずギリギリのまま外側がもれなく崖っぷちという状況が続き、ハンドルに手汗がすごい。
 こういうところに暮らしている人もいるんだなあ……。

shikoku2157.jpg

 どうやら我が車のハバではその先不安、つっかえちゃう。
 そう思えたので、かろうじて広くなっている場所に一旦停車。
 巨樹の所在地としても近いはずですが、入り口がよくわからず。
 探したり訊いたりの結果、このドラレコ画像の右側、ちょうどお二人が眺めているスロープ辺りが入り口であるということが判明しました。
 ……一般のお宅じゃないですか?

 いや、実際、私有地であると思いますので、もしお訪ねの際は住民の方にお声がけの上お進み下さい。
 その先、すごく美しい小道が続く。
 花咲き、小鳥は唄う……そんな中、我々はまだ見ぬ巨樹への出会いと、背後の風景の崖っぷちさにソワソワしながら歩みを進めます……。

 ここいら、ソワソワが過ぎて写真撮ってなかったです。
 今から考えればもっと撮っていて不思議はないくらい印象的な風景だったんですが、やっぱり自分の心のスタビライザーが過負荷だったんでしょうか。
 ご同行のRYO-JIさんの紀行写真がこの辺を捉えておられるので、ぜひご覧になってください。
 The B grade ・・・「初夏の四国旅・・・二日目」

shikoku2168.jpg

 この、急斜面にひっついたような集落で出会ったのが「六社聖神社の大杉」
 息を飲むようなこの風景を数百年にわたって見下ろしてきた杉に、感嘆の息を吐かずにはいられませんでした。
 実際のところ、もしこんな集落が自分の故郷だったとしたら、人生観は大きく違ったものになっていたはずです。

shikoku2164.jpg

 天空の城ラピュタかなんかにいるような気分でした。
 ラピュタにゃまだ行ったことないですけどね……。

 国土地理院の大雑把な地形図によれば、この辺りの標高は320mほどらしい。
 おそらく、100〜200メートルを一気に登り、見下ろすような地形になっているのではないでしょうか。

shikoku2155.jpg

 続きましては、再びヨサク(すでに呼び捨て)に降り、吉野川に沿うようにして東へ、およそ30分、十数キロ。
 マップの道の描き方からしてすでに、難度が増すことが予感できますが……。

shikoku2160.jpg

 またもや。
 杉林はタイムトンネル。
 さっき通ったはずの道をまた通ってる私?

shikoku2169.jpg

 そして、このような狭路を抜けていくと、やはり苦労して切り開いたであろう小さな集落が点々と現れます。
 この辺りでは、このような生活も珍しくはないのか……。
 むしろ、こんな場所をウロウロ走り回る変な水戸ナンバーの方がよほど珍しいでしょうよね……。

shikoku2173.jpg

 やや迷いつつも、三人寄ればもんじゅのアレということで、まあ正しくはカーナビとスマホと若干の勘の集合に過ぎませんが。
 とにかく、どうしてだか目的地に到着しました。 

 日射に痛めつけられたドライブレコーダーの映像では分かりづらいですが、正面の一番奥に目的の「牡丹杉」が立っているのがすぐにわかりました。
 それくらい、孤独なほどに形態が異なっている。
 手前にあるプレハブのような建造物が弓の神事を行う場所だったようです。

shikoku2166.jpg

 「桃原の牡丹杉」
 名前とは裏腹に刺々しく荒々しい、野生を感じる異形の杉でした。
 印象としては、爬虫類……を通り越して太古の魚類を連想するような質感とフォルムだと思いましたね。
 忘れられない巨樹となりそうです。

 国土地理院のデータによれば、桃原集落の標高は570mほどだそうです。
 山地に近づいている分、全体的に標高が上がっている印象。
 しかしやはり、一本の巨樹を目指すたびに100〜200mの標高を登り降りしているのは間違いなさそうです。

shikoku2156.jpg

 さて、もう今日は「杉巡り」と名前を変えてしまってもいいでしょう。
 杉で始まり、杉で終わる……いっそ、そう決まった方がキレイです。
 リストアップ最後となる杉は、徳島県に入ったところにあります。

 これまた深い……。
 平面図で見れば、なんかぐにゃぐにゃした気持ちの悪い迷路みたいなところを走るのかと思いがちですが、これが山に、バカみたいな急斜面に巻きついているとしたらどうです?
 それが現実です。

shikoku2170.jpg

 おおぼけばしだ。

shikoku2171.jpg

 有名な渓谷の景勝地、大歩危・小歩危に程近く、かずら橋で有名な祖谷にも近い。
 万人が秘境という言葉に乗せて想像するこんなところで山に分け入るというのは、嫌な予感しかしませんね。

shikoku2172.jpg

 ほら。
 トンネルをくぐればそこは……

shikoku2174.jpg

 あー……。

shikoku2175.jpg

 豆知識を語ると、どうやらこの周辺はとある超有名グループの方々の別荘地があるらしく……
 って、ごめんなさい!
 平家の落人伝説のことですっ!

shikoku2176.jpg

 タチの悪い嘘情報に騙されてるんじゃないですか?
 もしくはタヌキにでも化かされてるんじゃないんでしょうか?

 この辺まで進むと、カーナビのGPSが盛んに迷い始めます。
 あまりにも蛇行し過ぎ、急に高度を駆け上り続けるせいで、道同士が接近し過ぎて認識できなくなっている模様。
 もちろん、山蔭や木陰に入ってしまうことも多い。
 世間からの隔絶感をじっくりと噛みしめるドライブです。

shikoku2177.jpg

 ポッと出れば、そこには空しか見えない。

shikoku2178.jpg

 有名な「落ちたら死ぬ」看板をここにもつけて欲しいものですね。
 なぜって、落ちたら死ぬからです。

 とはいえ、もうこの頃にはこのテの道にだいぶ慣れてきている自分がおり、というか、車中、いちいち驚くのに疲れてしまった印象。
 むっつりとぐねぐね道を登り、登り、ひたすら登って行った覚えがあります……。

 が、その時、すっかり錯乱していたナビ子さんが、突如、目的地に接近宣言。

shikoku2179.jpg

 おおおお……!
 と、一同、声を漏らしたのを覚えています。
 「五所神社(大宮神社)の大杉」と対面した瞬間でした。

shikoku2167.jpg

 「五所神社の大杉」
 杉では、徳島県最大の幹周囲を誇る巨樹です。
 実測もさせて頂き、12.9メートルという迫力の数値を実感。
 これだけの巨大さの巨樹を手ずから測ることができたというその経験だけで、これまでの険しく長い道のりが報われるかのようでした。

shikoku2148.jpg

 ああ……やった。やりました。
 17時を過ぎ、夕暮れを前にして、予定していた全ての巨樹リストを探訪完了することができました。
 撮り終えてからしばし放心状態になってしまい、路肩に腰掛け、大杉の全体像や見下ろす山の風景をぼーっと眺めました。

 もちろん、四国の巨樹は、まだまだ深部にツワモノが潜んでいることでしょう。
 しかし、深追いしすぎて他の方々に迷惑をかけてはいけない。
 ましてや、これから日が暮れてから、あのおっかない道を走る勇気はありはしない。
 我々には、戻らねばならない日常があるのですね。

shikoku2151.jpg

 とはいえ、あまりの浮世離れした光景のため、写真撮りとしてはしばし車を停めてはシャッターを切らずにはいられないところも。
 トップの写真もこの時のもの。
 改めまして、なんてところなんでしょうねえ……。

 データによれば、この周囲の標高はだいたい620mほどらしい。
 しかし、極めて切り立った地形であるので、計測ポイントがちょっとずれただけで凄まじく数値が変動してしまいます。
 崖底から天空へ一直線。
 まさにそんな地形です。


shikoku2152.jpg

 大歩危峡にまで降りてきました。
 「下界」という感じがします。
 日が落ちた渓谷は風が冷たいくらいで、絶景を撮っているとにわかに冷えが来そうでした。
 少なくとも離合困難や崖から転落→爆死の危機からは解放されたのだ……という弛緩もあったのかもしれません。

 こういう時、どこからともなく、いつのまにか、あったかいコーヒー(紙コップのやつ)を調達してくるのがRYO-JIさんです。
 向こうにありましたよ? なんつって、そりゃあもう飛びつきますよね。
 このハードな巨樹探訪の達成感と疲労感をかみしめつつ、世に聞こえた大歩危の渓谷美を見下ろしながら飲む。
 ただの自販機カップコーヒーでも、この上なくうまかったですね。

shikoku2163.jpg

 出発の地、美馬にまで戻ってきました。
 これまで初めて目に飛び込んでくる光景の連続で、既視感ある場所に戻ってくるという感覚はこういうものだったか! と、それだけで少し感動しそうになりました。
 語りあっても、とてもただの2日間とは思えないような濃密すぎる2日でした。

 ご主人のお帰りを待つお二人の愛車も無事。ほっとしますね。
 どんどん夜へと向かっていく残り火のような明るさの中で、また近い再会を約束し、お別れしました。
 お二人はこれからそれぞれ京都・奈良に戻られるとのこと。
 お気をつけて!


shikoku2161.jpg

 さて……僕は、どうすんのかな……。
 帰り道、to-fuさんから安くて快適なお宿を紹介してもらったものの、問い合わせたところ、すでに満室とのこと……。
 これだけ危なっかしい道をこなしてきたわけなので、そらもう、ふかふか寝床で安眠する権利が俺にはある! と思っていたのですが、意気消沈。
 まあ、お宿でお風呂だけは入らせてもらうことができたので、最悪の事態だけは免れましたが。

shikoku2162.jpg

 結局、セブンイレブンで「ちゅうかどん」をガツガツ3分で食い、20分ばかり走って、道の駅みままで戻りました。
 疲れにのしかかられているこんな時には、新しいことはせぬことです。
 みまの駅。
 ここもすでに懐かしいような……せめて、2日前に車中泊したマスとは違うマスに泊まろうぜ、相棒。

 手慣れたもんで、5分で支度、特に何の娯楽を欲するわけでもなく、寝袋にイン。
 ああ……と思ってバックアップを取りがてら、今日撮った写真を見返したいと思うも、志半ばで眠りの淵に落ち込みました。
 その入り口は、今日走った四国の山地と同じくらい切り立っていて、どこまでも落ちていきそうに深かったのでした……。


(たぶん、つづきます)

4コメント

to-fu  

改めて地図を見返すと苦笑いしてしまいますね。
やれやれ、我々は一体どこで何をやってたんだろうと。
次にあの地に行くとしたら一人で行くのか。それともまた三人で集まることができるのか。
どうなることやら分かりませんが、少なくとも初めての四国秘境巡りをあのメンバーで
攻略できたことを何よりも嬉しく思います。いやー、本当に楽しかった!

さてさて、私は美馬市以降のアフターストーリーを聞いていないので次号の展開はとても興味深いです。
こちらはもう直帰してしまいましたからねえ…強いて言うなら美馬からしばらくの高速道路には
言葉にならないくらい羽虫が大量発生していて車が虫汁まみれになったことくらいでしょうか。
その虫汁、それから何度洗車機にぶち込んでも微妙にしぶとく残ってるんですよねえ…

2019/09/11 (Wed) 17:33 | EDIT | REPLY |   

RYO-JI  

あ、どうも、コーヒー調達人です(笑)。

あれからもう4ヶ月近く経つんですねぇ。
私なんかは旅の道中記をあっさり仕上げてしまったんですが(文才がないもので)、
ドラレコの画像を交えて綴る狛さんの旅道中を拝見するとすぐにでもどこかに出掛けたくなります(笑)。

改めて振り返ると、たった二日間とは思えないような濃密な時間でした。
狛さんのその後も楽しみにしてますよ~。

2019/09/11 (Wed) 22:35 | EDIT | REPLY |   
狛

狛  

to-fuさん>
なんだか自分の行動力に自信が持てるようになる2日間でしたね。笑
フツーに生きていてはまず行かないであろう地を訪れること、それだけのことに、なぜこんなに心が躍るのか。
それもまた、この仲間同士で行けたからだと思います。
ひとりで行って写真いっぱい撮ってきて見てもらうのでも悪くはないですが、写真では写しきれないところを共感することができるのは、やはりこの上ない喜びです。
巨樹めぐりを続けていられるのも、その点が大きいと思うのですよ。
あれ、ものすごかった! ぜひ見てください! ……そう言って、実際見に行ってくれる/見に来てくれる仲間がいて、同じ感動を共有できるのですから。
これはもう、次もじわじわ企画を始動するしかないですね。笑

虫に無双された記憶と言えば、僕は新潟ですね。
一面の穀倉地帯を走り抜けるのは気分がいい……と思いきや、それはもう悲惨な状態で、途中でSAで掃除しないと前が見えないほどで。
消毒用のアルコールスプレーで拭いたら、まあまあ落ちたように記憶してます。

2019/09/12 (Thu) 08:36 | EDIT | REPLY |   
狛

狛  

RYO-JIさん>
まさに達人! って、ちがうか。笑
あの時のコーヒーは間違いなくうまかったですが、僕も野外コーヒーセットの導入を検討しようかと……。

僕も書きながらもう4か月前なのか……と考えてました。
記憶はかなり鮮明だし、この感じと勢いで、自分の活動や次の計画も立てたい!と思っているところもありますね。
本当に風景が素晴らしかったので、映像にせよ余分な写真にせよ、もっと鮮明にたくさん残したかったと、そこが課題に思っています。
to-fuさん、RYO-JIさんの記事も参考にして、「残す」ということについてももっと真剣に取り組みたいなと思ってます。

2019/09/12 (Thu) 08:46 | EDIT | REPLY |   

コメント投稿