つるぎ町はすごいとこ/山林モード

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K-1 mark2 / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR

 徳島県つるぎ町の巨樹探訪は続きます。
 どんどん南下、四国の懐への潜航を続けた我々は、その途中で「葛籠(つづろ)のヒノキ」に立ち寄る。

 しかしねえ……とんでもねえところに来ちまった。
 あの、にっぽん昔話に出てくるような極端な立地のおうちにはどうやって行くんだろ。
 家があるからには、あすこに住んでる人がいて、つまりあれが実家だということもあるわけですよ。
 お正月やオボーンに帰る、婚約者を連れてきたりする。あの地に!
 「ねえ見て……あれが私の実家なの」
 って言われたらどう……

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 そんな妄想をしつつ、ハンドルぐるぐる回して登ってきましたよ。

 ここまで来ると標高は……ごめんなさい、ちょっとわかんないんですが、さっき登りきった尾根からふもとまで下りてきて、また別の尾根まで登るというような繰り返しです。
 とてもじゃないけど、地図で計画しただけでは正確にイメージがつかめない。
 地図上の直線距離としてはたかだか20キロに見えるけど、おそらく標高は1000メートル程度登り降りしていたのではないでしょうか。
 人生で初めて高度計というものが欲しくなった次第です。
 樹木の生育環境を捉えるためにも、ちょっと高度を意識するのは有用かもしれません。
 安いのを買ってみたいかも……amazoooonを検索しながら関東平野の民はそう語った。


 「葛籠のヒノキ」への入り口、葛篭堂というお堂と集会所のようなものがあるヘアピンカーブまでやってきました。
 葛籠集落への道と言って正確かどうかはわかりませんが、細くなる道の先に数軒の民家がある様子。

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 しかし、ご覧の通り、集会所もなんだかサルバドール・ダリの絵の竹馬みたいなのに乗っかってるし、極端に切り立った狭い土地です。
 道幅的には車1台行けるようでしたが、先はわからない。
 同行のお二人には、「車はここに置いて徒歩で行きましょう。ね、徒歩、いいでしょそれで、天気もいいし歩くときっと気持ちいいですよ。ハイ決定」 と了解をいただき、歩いて行きました。

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 そうして見渡した周囲の光景が、1枚目および上記の写真のものです。
 ここは果たして日本なのだろうか? 加えて言えば、本当に2019年なのであろうか。
 ここの集落はまだそばに道路があるからマシだろうが、それでもこれほどのところにあるというのは……いやまて、平常時から孤立していることを考慮すると、逆に災害時に強いのでは?
 などとヘンテコなことすら考えてしまいました。

 しばらく行くと、狭い道のど真ん中に、堂々と郵便局の赤カブが停めてある。
 斜面に張り付いたような家の中から明るい話し声が聞こえる。
 ここらの人たちにとっては郵便物より大切なものを届けてもらってるところなんだろうな。

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 もうちょっと進んで行くと、「葛籠のヒノキ」が急斜面にしがみついて立っていました。
 しかし、急すぎるためか、近づけない処置がしてあり、ちょっと残念。
 写真点数は少なくならざるを得ませんでしたが、勢いのある大ヒノキで、見られて良かったです。

 そばの道には軽トラが停めてあり、道幅いっぱいいっぱい。
 さっきの赤カブにせよ軽トラにせよ、通行を気にする気配すらない。
 そして、できる限り巨樹撮影を頑張って戻ってきても、まださっきの赤カブは停まっていて、話し声もしていました。

 これがここの日常なんだなあ……。
 巨樹も堪能しましたが、それとともに、この距離以上に遠い地の日常を感じ取れたのがとても印象深かったです。
 ほんと、何度でも書きますが、巨樹がなかったら一生のうちに絶対来なかったであろう場所に身を置きました。
 この感覚がとても鮮烈なのです。

 車に戻り、我々はさらに進む。
 つるぎ町の深部へ。
 まだ見ぬ巨樹たちのもとに。

(つづきます)




 ・編集おまけ・

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 ……という記事を喫茶店で書いていたのですが。
 休憩中に読んだナショナル・ジオグラフィックの特集、アラスカの山火事発生時にパラシュート降下してきて初期消火するというとんでもないお仕事「スモーク・ジャンパー」の写真にて。
 落雷から生じて1万ヘクタール以上を焼き尽くす山火事を、樹を切って緩衝帯を作り、火種を叩き消し、身を投じて食い止める。
 大変エキサイティングな記事で、写真もものすごく素晴らしかった。
 けど……ん?

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 これ……!
 僕が持ってたのと同じチープカシオしてるじゃねえか!

 いや、たいそう驚いて爆笑しましたが、納得でもあります。
 このデジタル時計、つけてるの忘れるくらい小型超軽量な上、ものすごくタフですからね。
 僕もかつて建設現場でずっとつけてて、水に沈む、塗料やセメントの粉まみれになる、材木に挟まれる、夏の灼熱と汗の塩分にさらされる……などなどしても全然平気でした。
 おまけに何が起きようとちっとも狂わず、それでたったの980円。
 総合点では完全にG-SHOCKより丈夫な無敵な時計です。

 写真は世界を覗く窓であると言えますが、自分と世界をつなぐドアでもあるんですねえ……うん。
 旅記事も、頑張って続きを書こうと思いました。

2コメント

to-fu  

そのチープカシオは僕もランニング用に持ってます 笑
かの世界的有名人ビン・ラディン氏も愛用していたと言われるセレブリティなモデルですよ。

いえ、それより葛籠。あの風景は本当に衝撃的でした。
郵便配達員の主な業務は生存確認であるとか、何か異常がないかのチェックなんでしょうね。
しかし便所にしたって下水処理なんてされてないであろうあんな山奥であっても
携帯の電波が来てネットだって繋がってしまうだなんて…現代社会って凄い。

人生観変えるならインドというのが定番ですが、つるぎ町で1ヶ月生活したら随分変わるんじゃないかと思いますね。治安の悪いインドなんか行く必要ないですよ。

2019/07/01 (Mon) 20:22 | EDIT | REPLY |   
狛

狛  

to-fuさん>
そういえばそうでしたね。
トヨタにせよカシオにせよ、こういう極端な現場でのリアルがなんとも言えない凄みをかもします。
持ち物を最小限にしなければならないパラシュート部隊の写真に写っているって、折り紙付きだなと思います。

こんなところじゃさすがにamazoonも届かないだろう……いや、届くか?! ならば生きられる?
と、かなり安直な見方をしたもんですが、そうしてみると、逆に孤独に生きることは難しい時代なのかもなとも。
まあ、まあ、そんなの、この辺りに1週間も暮らせば価値観が逆転するでしょうね。

確かにインドなんかわざわざ行かなくてもね。
犯罪や病気の危機で人生変えたくはないです。
しかし、つるぎ町も、たぶん好まずとも狩猟・採集の文化と接するようになってくるんだろうな……と、想像するとビビります。
つくづくシティ・ボーイです。笑

2019/07/02 (Tue) 08:45 | EDIT | REPLY |   

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