巨樹を訪ねる 地蔵森のカゴノキ

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K-1 mark2 / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR

 険しいつるぎ町の尾根から降りてきて、国道(とは時に疑わしい)438号を進んで行くと、ふと道沿いに巨樹を示す看板を発見しました。
 巨樹のためにあんなところまで行ってしまった……とか、ちょっとばかり感覚がおかしくなっているので、それがどんなものなのか考えるより早く、「見ていきましょう!」と満場一致の可決がくだる。
 路肩に車を寄せ、一段小高くなっているところへ登っていくと、朽ちた雰囲気の中にその樹はありました。
 「地蔵森のカゴノキ」です。 
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 周囲の状況としてはこのような感じ。
 地蔵森という名の通り、お地蔵さんを拝むための場所だったが、人の手がなかなか入らなくなり、徐々に深い「森」の方へ還ろうとしているように見えます。
 かろうじて竹や雑木に埋もれてはいませんが、鬱蒼としていて、たちまち縞のあるでかい蚊が襲撃してきます。

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 こちらがその巨樹。樹種はカゴノキです。
 株立ちだということはすぐにわかりますが、かなり大きい。
 日陰になりがちなため幹が湿ったままで、特有のグロテスクさがあり、気楽に近寄れないような迫力を発しています。

 個人的にはこれまでカゴノキの巨樹を見たことがなく、これをきっかけに樹種について調べたのですが、主に関東以西の分布のようです。
 特に瀬戸内には普通に見られるとのこと。
 「かご」というのは「鹿子」のことで、成長に伴って樹皮がはがれた部分がバンビ模様になるから。
 どっかが籠状になるわけでもなく、この樹の何かで籠が作れるわけでもないようですね。
 類縁としてはクスノキに近いようで、言われてみれば柔軟さを感じる樹形が似ているかもしれません。

 この樹の主幹は見ての通り5メートルを超えるほどの大きさですが、老齢のためかすでにその鹿の子模様はよくわからない。
 副幹というか、別の若そうな部分に、鮮やかな模様が見えます。
 (公式な大きさとして幹周9.4メートルとあるそうですが、これはサブの幹も合計した数値です)

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 蚊に刺されつつ裏側に回ってみると……凄惨というべきか、かなりすごい有様です。
 主幹・副幹とも朽ちつつあるさまが見て取れます。
 苔が生して分解が進み、もはや土に戻りつつあるか……。

 このありさまを、左下の方に写っていますが、打ち捨てられた瓦礫のようなものが、さらに悲壮感を強めてきます。
 これ……実はひとつ前の「白山神社のモミ」のところでも同じようなものがあり、さらに、この後続く巨樹の周囲にもありました。
 こんなところにゴミを捨てていく罰当たりがいるならとんでもないことですが、観察すると、どうも生活で生じた廃棄物を捨てたという感じではないかもしれない。
 巨樹や神仏を祭るにあたり、供物としていたらしい酒瓶や猪口、提灯でも灯していたのか電球(電球はいずれの場所にもありました)など、そのなれの果てが残っているようでした。
 実際、他の方のサイトでこの樹の10年前の写真を見てみると、何やら祭事をしていたような風景も見て取れます。
 過疎で世話を焼く人がいなくなっているということなのか……果たして。

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 主幹の方は生気が感じられないくらいに傷みが激しいですが、若い副幹の方は折れつつもまだ生きそうです。
 カゴノキは材として家具などにも使うようですが、こういう樹形になる樹ですから、あまり量は取れないそうです。
 いい材は木目の中に星模様が出るとか、滑りがいいので重い木戸の敷居に使うのがいいとか。

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 地蔵森の斜面を少し登って観察していると、別のカゴノキがあるのも見つけました。
 こちらもなかなか大きいですが、かなり若く健康そうです。
 幹全体を覆う鹿の子模様がかなりインパクト大。
 この樹だけ迷彩服を着てるかのように見えてきますが、迷彩にしては森の中でくっきり浮いています。
 都市迷彩なのか?

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 再び、巨樹の方に戻って。
 やはりこの角度から仰ぎ見て圧倒されるのが一番いい姿ですね。
 解説文もなく、いつ頃からこの地にあるのかもわかりませんが、もうだいぶ生きたわ……と、こわばった肉体で息をついているかのように感じました。
 延命地蔵の背後は樹体が塊となって盛り上がっていて、生ける地蔵堂といった風です。

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 to-fuさん、RYO-JIさんから、道路からも見えると教えてもらいました。
 運転していて気づきませんでしたが、もしかするとお二人には国道からも「何かある」感が伝わったのかも。 

 つるぎ町配布の巨樹めぐりマップやパンフには載っていない樹で、思いがけない出会いでした。
 こういうことがあると、この樹は自分の姿を見ておいて欲しかったのではないか、朽ちて崩壊する前に、巨樹なんて巡っている物好きたち(我々です)を呼びつけたんじゃないか……などと、都合よく想像してしまいます。
 カゴノキの巨樹がどういうものか体現してくれるような、印象的な出会いになりました。
 カゴノキと聞けば、きっとこの樹を思い出すはずです。


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「地蔵森のカゴノキ」
 徳島県つるぎ町一宇河内
 樹齢:不明
 樹種:カゴノキ
 樹高:17メートル
 幹周:9.4メートル

4コメント

to-fu  

こちらの神社でそれなりに見かける樹種ではあるのですが、ここまで大きなカゴノキは
僕も初めて目にしました。オガタマノキやナギなんかと一緒で見応えでいうと星1つになる
ことが多い印象です。今回も息抜きに1本見ておくか、くらいの気持ちだったので
正直かなりビックリしました。幹周9.4mの巨樹と聞いて来るとがっかりかもしれませんが
立派なカゴノキがあると聞いて訪れたなら、きっと興奮してしまうと思います。

こちらも本当に今回見られて良かった巨樹ですね。
朽ちた幹が斜面から大きく前へせり出してましたし、何かの拍子に倒れてしまってもおかしくない。
今後一層過疎が進むであろう地域ですが、何とか踏ん張っていただきたいものです。

2019/06/21 (Fri) 15:42 | EDIT | REPLY |   

RYO-JI  

そうそう、カゴノキは巨樹を見に行った神社などで見かけることがありますね。
この模様が特徴的なので私でも判別がつくので(笑)。
こういう特徴的な模様を持つものって、魚なんかでも年齢を重ねるごとに模様が消えていくパターンが多いですが、
樹でもそんなことがあるのかと関心していました。
見た目のインパクトも強かったですね。
国道沿いにあるにも関わらずひっそりと存在していることから余計に異世界に来た感じもしました。
そして鈍い自分は、「何かある」感はまったく受信できませんでした(笑)。

2019/06/21 (Fri) 21:56 | EDIT | REPLY |   
狛

狛  

to-fuさん>
この、地域による植生を感じる時というのが、遠方へ巨樹探訪した時の面白さですよね。
また大きさとは別軸で面白い。
カゴノキは一度見ておきたかったと思っていました。
が、写真からしてもそう、あまりズドンと大きい感じはないし、どちらかというと陰気な樹種というイメージがあったので、今回この樹に出会えたのは大きな収穫だったと思います。

グロテスクで量感のある幹が覆いかぶさってくるような立地でもあり、民間呪術信仰の匂いをかぐような体験だったようにも記憶しています。
明らかに手は入らなくなりつつある……あの白山神社のモミもそうですが、今後埋もれてしまうのかという点でも、つるぎ町の巨樹町おこしの意義はあるのだろうと思います。

2019/06/23 (Sun) 10:07 | EDIT | REPLY |   
狛

狛  

RYO-JIさん>
カゴノキはこの模様に目が行ってしまうあまり、他の細部を記憶できない……とどこかのサイトの人が書いていました。
まさにそんな感じ。あとから復習してやっとどんな樹だったかを知ることができたように思いました。
この一番大きな幹に関しては、明らかに歳を経すぎているという感じですよね。
おそらくは寿命以上に生きているのではないかと……そんな眺めでした。
運転していて、果たして誰が一番にこの樹に感づいたのかわからないのですが、資料になかったこの樹に出会えたのは収穫でしたね。

2019/06/23 (Sun) 10:20 | EDIT | REPLY |   

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