巨樹を訪ねる 沼のびゃくしん 再訪

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K-1 mark2 / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR

 ちょっとザッピングしてしまいますが、房総巨樹行の記録も進めてみます。
 房総半島の本当の最南端というところ、館山市沼地区の「沼のびゃくしん」を再訪しました。
 結論から言うと、お変わりなくてひと安心。
 なかなか来ることが叶わない地なので、行けるならしっかり写真を撮っておきたいと思っていた巨樹です。

 前回、2016.8の探訪記事はこちら

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 ヒノキの仲間、ビャクシン(柏槇)の巨樹です。
 幹周7.45メートルは、千葉県内のビャクシンでは最大。
 スギほど巨大にはならない樹種ですが、さすがに7メートルを超えるとなると迫力がありますね。
 この樹の場合は神社の石垣すれすれに生育していることもあって、グワッと迫ってくる姿にいっそう凄みがあります。

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 もうちょっと近づいてみる。
 のしかかるような姿勢、この支柱にすごい荷重がかかっていやしないだろうか……今これが折れたら……などと、つい想像してしまうほど。
 ちょっと尻込みしそうになりつつも……うん、この圧迫感、これを味わいたくて来たんだよ! と、胸が高鳴りますね。
 枝は大蛇のように長く伸びて奥の神社を覆い隠し、石段の下の地上まで届いています。

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 周りの土手が獣道のようになっているので、登りつつ三脚を立て、姿をじっくり撮影してみます。
 かなりの太さを感じますね。素晴らしい根幹。
 背が高くなく、樹形が複雑になる分、直立するスギよりも重量感を感じるように思いました。
 そう、上背がない分、落雷の脅威からは逃れられますが、横に広がった大枝は風害に遭いやすいはず。
 背後が神社で、ちょっとした丘を背負っているのも恵まれていた点かもしれません。

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 背面に回ると、おそらく枝折れの箇所だと思いますが、白骨化した部分があります。
 なんだかツヤツヤと磨かれたような質感になっていて、象牙のような質感です。
 傾斜して育っていった姿勢上、背中部分は弱点になったのかもしれませんね。
 長大に枝分かれしていっている重量で、将来的にこの背面部分が引き裂かれないといいのですが……。

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 真横にあたる位置から。
 垂直方向に立ち上がるものと同等くらいの分量が、重力に引かれ、平行方向に長く身を伸ばしています。
 いったいどれを主幹と呼んでいいのやら。
 晴天の日でしたが、幹に近づくと鬱蒼として暗い。
 木漏れ日のまだらがくっきりと目に映えます。

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 神社の鳥居の横に車1台停めて展開できるだけの草地があるのですが、そこから眺めた姿はこんな感じです。
 御神木だということで極力枝を落とす処置をされないため、このような姿になったのだと思います。
 もう、停めた車の屋根にまで枝が届くありさま。
 すっぽりとビャクシンに抱えられるようになってしまいます。

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 状況説明的には、こんな感じです。
 車のすぐ後ろに立ち込める濃い緑の積乱雲のような樹冠すべてが、「沼のびゃくしん」一本のもの。
 樹勢はかなり旺盛。
 いい樹だなあと惚れ惚れするとともに、この眺めにほっとするのでした。
 よかったよかった。

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 解説文も今一度。
 22年度の手入れがやはり効いているのでしょう、勢いは健やかなまま保たれていると見ました。
 ビャクシンの巨樹は個体差が大きく、姿形だけ見ると全く別種の樹に見えてしまうこともあり、生い立ちや周囲環境とともに考えるのが特に興味深い樹種だと思います。

 極端な位置(半島の本当に最先端!)も含め、館山市の南国と言っていい気候や風景を眺めるのはとても気持ちいい。
 ギリギリ日帰りのドライブを楽しむついでに、おそらくこの樹にはまた何度か会いに来るはずです。
 親しみがわくとともに、十分な見所を備えた巨樹だと思います。


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 「沼のビャクシン」
 千葉県館山市沼 十二天神社
 樹齢:800年
 樹種:ビャクシン
 樹高:17メートル
 幹周:7.45メートル

4コメント

RYO-JI  

館山の先っちょだなんてまったく縁がないので想像もできない場所ですが、
かなり温暖な気候なんでしょうね。
その恩恵もあるのか、ビャクシンとしてはかなりのサイズですね。
樹形も凄みがあって迫力を感じます。
ヒューマンスケールで見る限り、実際のサイズはもっとあるんじゃないかと思ってしまいますね。
スギやクスノキはもちろん、シイなどとも違う雰囲気を持ってますね、ビャクシンは。

ビャクシンと言えば、私も先日初めてビャクシンの巨樹を見てきました。
初物が日本一のヤツでそりゃもう凄かったです。

前回の記事と見比べると、やはりK-1の写りの良さが圧倒的ですね。
こういう差を実感すると、私も全部D850で撮り直したくなります(笑)。

2019/04/29 (Mon) 21:15 | EDIT | REPLY |   

to-fu  

ビャクシン界の大物ですよねえ。
巨樹巡りをしている以上避けては通れない一本だという認識です。
でも房総の端っこって関西人からすると下手な海外に行くよりも高難度なので困ったものです 笑

ヤマタノオロチ系ビャクシン自体が珍しいですよね。
今まで見たものの大半が単幹かそれに近い形で成長をしていたので、何だか別の樹種を見ているような気分になります。元々周囲が鬱蒼としていたみたいなのでこの形にならざるを得なかったのでしょうが、そこに数百年に渡るこのビャクシンの壮絶な人生が現れているようでゾクゾク来ます。

RYO-JIさんに同感。特に初期に撮った巨樹は再撮影して写真を差し替えてしまいたいですねー。未掲載の巨樹にもいまいち写真が気に入っていないもの(天候や季節的な外的要因含む)が何本もあって、記事にまとめるのは再訪してからでいいかな、なんて思ってます。

2019/04/30 (Tue) 10:55 | EDIT | REPLY |   
狛

狛  

RYO-JIさん>
なかなか、俺は行った感がある、すごいところですよー。目印を残したくなります。
おっしゃるとおり大変温暖、ヤシの木もあるし、沖にはサンゴがあるとかなんとか。

沼のびゃくしんは、僕のびゃくしん最初だったと思います。
色々な樹形タイプがあって、個性を楽しめますね。
ビャクシンだけを集めてみたら、逆に面白いかも。
日本一といわれるあのビャクシンもかなり印象に残りますね。

巨樹という被写体に対しては、やはり自分のベストをもって挑みたいですね。
いや、当時もそう思って撮っていたはずですが……笑
フルサイズは高い買い物でしたが、巨樹のおかげでハードに使えていますし、すごくやりがいもあります。
全撮り直し……やりたいですね。
しかし、今後また新しい凄いカメラを買ったら、もう一周するのか? ……それもいいな。笑

2019/05/01 (Wed) 08:47 | EDIT | REPLY |   
狛

狛  

to-fuさん>
なかなか来られない土地ですよ!笑
観光地が多く、特に長期連休中はその手前までたどり着けないような渋滞です。
でも、なんでもない時にこうして訪ねられると、ほのぼのとしてとても気持ちのいいところ。

そうですね、雲のように湧き立つようなもの、龍のようなゴツゴツしたもの、ときて、これはヤマタノオロチ型ですね。
逆に考えてみると、ビャクシンの樹形を変える柔軟性の高さに驚きます。
環境や地形に対応して、いいように成長するものなんでしょうね。
この辺り、ヒノキにはない特徴で、ヒノキよりも耐力にすぐれていそうに感じますね。
奥深くて面白いです。

できるだけ新しい姿をベストな手法で残していきたいです。
to-fuさんが遭遇した倒壊した巨樹のように、相手は悠久に見えて命あるものですし、これはやはりポートレートなのか?とも思いますね。
そうそう、いろんなコンディションでの姿も見て、撮ってみたい。
常緑樹は夏でも冬でも変わらない……なんて言っても、変わらないところをこそ撮りたいですね。

2019/05/01 (Wed) 08:55 | EDIT | REPLY |   

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