巨樹を訪ねる 地蔵桜(桜地蔵)

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K-1 mark2 / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR

 今年の三春滝桜はタイミングが合わずに勇み足。
 せっかく遠征してきたし、ならばあの桜はどうなっただろう? という意識ばかりが暴走してしまい、追加で150キロばかり走ってきてしまいました。
 気になったのは、この「地蔵桜」。
 地蔵桜というネーミングは各地にいくつもあるでしょうが、こちらは宮城県川崎町の「地蔵桜」です。
 川崎町のサイトには「桜地蔵」ともあり、根元にあるバス停も同名であるので、この名も併記しておきます。

 この桜との出会いはなかなか衝撃的でした……だからこそ深く印象に残ったのですが、巨樹として大変個性的です。
 おそらく皆さんも、こんな桜は今までに見たことがないのでは? 
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 桜ですから、この時期、咲き具合が気になるのは仕方のないことです。
 三春では2分咲きくらいでしたが、こちらは5分弱は咲いているのではないかと。
 ここ川崎町も山がちで、前回3月末でも吹雪に見舞われるような土地ですが、三春よりは暖かいのでしょうかね。

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 解説文によると、アズマヒガンという古い種類の桜だということで、それゆえに長命、大きく育ったようです。
 幹、大枝はかなりの大きさです。
 彼岸桜系のごつさを最大限発揮して、3メートルを超える幹が2本。
 これだけでも見応え十分ですが、この桜の本当の姿はここからではわかりません。
 いいですか、きっとびっくりしてもらえると思いますよ……↓



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 どうですか、この、一瞬、何が起きたか理解できなくなるような眺め。
 物質転送機の出現座標指定を間違って「あっ、やべえ!」って、ぶっ刺してしまったような……。
 説明や比喩も混乱、そりゃそうだろう、この状況です。
 ぶっ刺しはぶっ刺しでも空海サンがおはしを刺したのとはまた違う、どでかいぶっ刺しをやらかしています。

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 せっかくなので、時間を戻しましょう。
 この樹に最初に出会ったのは、寒い寒い3月末。そこは話しましたね?
 少ない情報から巨樹を求めて走ってきて、だが、ついにそれは見つからなかった。
 それでもキャラが立ったサブ・ターゲットを撮影することができて(次回ご紹介します)、そんな日も初めてじゃないさ、僕は満足だよ……とかなんとか、傷心をごまかして走っている時、突如としてこの驚異の姿の巨樹が目の前に!
 一気に正気度を持って行かれ、うわあっ! と、もうほとんど急ブレーキです(危ないので注意しましょう)。

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 行き過ぎたので、変な道をくるくる回って戻って見に来ました。
 雪が舞い散る中、見つからなかったメインの代わりに魅力的な姿を誇示してくれました。
 いや、両方知っていたとしたら明らかにこの桜の方がメイン・ターゲットでしたよ。
 まったく、自分のリサーチ能力の低さに呆れるとともに、そんなのを頼りに毎回出かけるんだからすごいって思う。

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 幹は3メートル級のものが2本。
 話によれば、この2本を同一の樹だとして合算し、7メートル以上としている資料もあるそうですが、それは異論を呼びそうです。
 とはいえ、これだけ近ければ地中では同一になっている可能性は高い。
 場所が狭いので全貌が見えないので、建物、つまり地蔵堂の方に向かってみましょう。

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 で、中に入って、2度目の驚きがあります。
 ドーンと真正面に。
 なんなんだ、この眺めは……。

 まあ、外から見てああなんだから当然といえば当然ですが……当然すぎの度が過ぎています。
 お地蔵さんも思ったより大きいのですが、この幹姿、桜の巨樹としてはかなりのものです。
 何より、この特殊な状況で生きているにも関わらず、健康状態が良いというのが意外であり、嬉しくもある。
 
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 明らかに、お地蔵さんと桜が同列の信仰対象になっている。
 地獄から衆生の魂を救済するという地蔵菩薩と、咲いて散ることに生死を暗喩する桜……その両者に引き合う力を感じるというのは考え過ぎでしょうか。

 それはさておき、広々としたお堂で、ちょっとした集会くらいはひらけそうです。
 手入れが行き届いていて、地域の方々に大切にされていることが伺えました。
 桜のすぐそばには「桜地蔵」バス停があるので、雪の日や夏の暑い日には、ここでバスを待つ人もいるかもしれません。
 地域の真ん中にあるシンボルとしての巨樹にはこれまでも何本か出会いましたが、そのたびに暖かい気持ちになれます。
 ウチにはこんなすごい樹がある! と、きっと語られていることでしょう。

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 最後にもう一度、咲いている図をどうぞ。
 まだ咲ききっていない状況なのでそう見えるのかもしれませんが、紅色がほどよく濃い桜に見えました。
 東北の新聞社の報道によると、2018年には、4/12に満開となったという記事を見つけました。

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 解説文。
 アズマヒガンという聞きなれない種類について、日本で最も長命な原種と説明していますね。
 その通り、経てきた歴史がはっきりしている上で380年もの樹齢があるのに、幹や大枝もしっかりしている。
 大桜があったところに後からお堂が建てられたわけですが、きっと桜の成長に合わせて建て直すことになったのでしょう。
 もしかすると、当初はこんな風に貫通スタイルではなかったのかもしれませんね。

 この桜のことは全くのノーマークでした。
 おまけに、道はほとんど一本道でカーナビまでセットしていたにも関わらず、無意識に道を間違い、その先での思わぬ遭遇でした。
 もし行きにここを通ったとしても、お堂の背後に立派な桜があるなー、というだけで通り過ぎていたかもしれない。
 思いがけないだけにセンセーショナルで、とても良い出会いでした。
 こういうことって、何度か経験あるんですが……もしかしたら巨樹が呼んでくれたのかも?
 ……なんて思うのは、やっぱりわざとらしいでしょうか。笑


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「地蔵桜(桜地蔵)」
 宮城県川崎町 宮城交通「桜地蔵」バス停
 樹齢:380年
 樹種:アズマヒガン
 樹高:20メートル
 幹周:3.2メートル

4コメント

to-fu  

これは完全に呼ばれてますねえ 笑
僕も確実に急ブレーキを踏んでいると思います。
脇見しちゃって事故ってるかも…危ない危ない。
幹周3.2mって巨樹基準で見るとアレですけど、桜としては相当なものですよね。
狛さんとの比較を見ても、小屋を突き抜けるという小技抜きにしても充分な見応えがありそうです。

巨樹を中心にした建造物ということで以前RYO-JIさんが訪問されていた、駅のど真ん中をブチ抜くクスノキ「萱島の大クスノキ」を思い出しました。こちらも、いかにも大切にされていそうで嬉しくなります。

2019/04/18 (Thu) 20:11 | EDIT | REPLY |   

狛  

to-fuさん>
えっ、そこでこういうのが出てくる!? みたいな展開。
これは恵まれたなと思いますよね。
それ以来、なんだか気になって、咲いているかと思ったら来てしまいました。
樹齢的にもまだ余裕がありそうに見えますし、この先もっと大きくなって、するとお堂も改築されて……と、数十年後の姿も楽しみに思いますね。
できれば覚えていたいな。

そう、僕もあの駅のクスノキや、インドで寺院を貫通して信仰対象になっているセンダンの樹を思い出しました。
ユニークですよねえ。

2019/04/19 (Fri) 08:41 | EDIT | REPLY |   

RYO-JI  

狛さん、持ってますね(笑)。
道を間違うわ、目的の巨樹に出会えないわ・・・なのに。
そういう極限状態になると無意識のうちにセンサーが働くのかもしれませんねぇ。
そう、特異体質です!

見たことないよ~、ビックリするよー、と二度にわたってハードルを上げてしまうのは、
「やってはいけないアオリ手法」(結果期待以下)ですが、いや、これは上がったハードルをさらに超えてきましたね。
驚きました(笑)。

この桜と地蔵の関係は切っても切れないものなんでしょうね。
後からやって来た地蔵の名を取って地蔵桜とし、前からいる桜の名を取って桜地蔵と名付けられたのかなぁと。
とてもいい関係で、そこに地域の方々の想いも感じるし、ほんと温かみを感じますね!

2019/04/19 (Fri) 22:08 | EDIT | REPLY |   
狛

狛  

RYO-JIさん>
この眺め自体、一般の方も驚いていただけるとは思うんですが、確かにそうですね、このアオリはかなりやりすぎてますね。笑
でも、わかってくれて嬉しい。

この時は道を間違ってる感覚もなかったんです。
えっ、行きにこんな巨樹あった? って思ったら、いつのまにか違う道を走っていたという。
やっぱり、桜にはお地蔵様という関係性があるように思うんですよね。
それを意図して組み合わせている。
このお堂の中にいるとなんとも落ち着きます。
綺麗な川も流れていて、北の町の素朴な日常光景という感じがしました。

2019/04/20 (Sat) 08:47 | EDIT | REPLY |   

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