三春町桜めぐりを勇み足

K-1 mark2 / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR
読めない。
桜ばかりはどうにもならない!
いかに自由人(半人前)な生活をしているとはいえ、そう2、3日区切りで休みが自由自在にできるわけでもなく、今年はこのタイミングで三春を訪ねることとなりました。
それでも、一度、一週間の予定調整をしてるんですよ。
読みを効かせ、寸前まで開花予想とばっちりシンクロしてました。
ところが、あの想定外の雪! なんだあれ!
……まあ、ともあれ、今年も福島県田村郡三春町、国の天然記念物である「三春滝桜」を中心とした桜めぐりに出かけました。
都市を彩るソメイヨシノもきれいですが、里山の風景の中のエドヒガンの一本桜には特有の艶やかさと風格があります。

ネットが進歩した現代ですから、これら有名な桜の開花情報はだいたい手に入れることができます。
しかし、だからと言って100%満開の姿を拝めるかというと、そうではない。
数々の制約の中で生きているのが現代人である、むしろテクノロジーが進歩すればするほどその制約は細分化されて食い込んでくる……と、そういうパラドクスがここにも表れているのではないでしょうか。
と、行き場のない感情を文明かなんかにぶつけてみたところで、こちらは「五斗蒔田桜」。
次に出てくる地蔵桜からほど近い場所にあり、滝桜の子孫、樹齢150年とされている桜です。
目通り幹周は3〜4mの間といったところでしょうか。

大変見事な樹形であり、丘の上に単独で立っているので、背景が必ず空になるところがまた素晴らしい。
ぜひ次回は満開の時に訪ねて、しっかり記事にしたいものだと思いました。

少し走って、こちらが「紅枝垂地蔵桜」。
滝桜の娘とも孫とも言われる、実質ナンバー2の格にあると言える大桜です。
立ち上がった姿が実に格好良く、花の色も少し濃いように見える。
……しかしこちらも今年はまだ早かった。
周囲に残る雪が、この辺りがひときわ寒冷な土地であることを物語っています。

巨樹としても素晴らしい樹。
木道があるので、近づいて触れることができるのもうれしいです。
ほぼ満開の時に訪れた2年前の写真はこちら。
もちろんこちらも、また咲いているところを見に来たいものです。
この周囲は道々にも立派な桜が数多く植えられており、それらが一斉に開いて村中が春に包まれたような光景は、なんとも印象深いものなのです。

そして、いつもなら大渋滞のチマタと化す道を、その半分くらいの時間で進んで、「三春滝桜」に到着しました。
1……多めに見ても2分咲きくらいしょうか。残念!
それでも、日当たりがいい場所にあるせいか、他の大桜たちよりも幾分早いように見えます。

咲いていないわけではない。
あと一押しという感じですね。

当日はものすごく天気が良く、気温も20度近くまであがって、急速に春が進行する気配を感じました。
ほんとにね、じっと見てたら目の前で次々桜が咲くんじゃないかと、無理な期待をしてしまうくらいに。
炸裂寸前の花火大会(花火じゃなくて花火大会)を見ているかのようで、すごくそわそわしてきます。

もちろん、滝桜本人としても、ここから一気にギアをトップに持ってく! というところだったでしょうね。
あと3、4日すれば、あの見事な枝垂れの大瀑布を披露してくれるはず。
咲けば薄い桃色の花も、つぼみの状態だとだいぶ濃い紅色です。

しかしながらそこは、巨樹愛好者。
花がなくとも、巨樹という視点から楽しむこともできる。
その視点からも十分巨大、これが桜であるとはにわかに信じがたいような樹です。

花がない分、樹形や幹がよく観察できてよかったとも言えますね(苦し紛れ? まあ、そうです笑)。
逆に言えば、満開時はほとんど枝や幹を覆い尽くすほどの花がついているということですね。
推定樹齢1000年、日本三大桜の一角としてこれだけの樹勢を誇っているのは、本当に尊いことだと思います。
スタンバイ時だからこそ、なおさらにそう感じます。
生きる力がみなぎっている。
素晴らしい眺めではありませんか。

何度見ても、どこから見ても、ものすごい樹。
日本一の桜はこれだと、断然そう思うのです。
この樹一本のために馬鹿でかい桜祭りが開催され、村と呼べそうな屋台が立ち並び、50キロ先の小野町まで渋滞が続いてしまう。
誇張とか、流行りとか、演出がうまいとか、そういうこと抜きに本当にすごいものもあるんだということを体現してくれる存在だと思う。
それがたまたま桜の形を取っている。その幸運。
富士山と一緒で、日本人の感性を最大限喜ばせてくれる存在なんだと、僕は思うのです。
……というわけで、ままならないものだなあ! と思いつつ、今年の僕の桜祭りは幕を閉じました。
巨樹は生き物。だからこそ尚更尊い。
桜はただ勝手に咲いているのではなく、その意思と生命力で春を彩っているのだと確認するかのような年になりました。
来年も……多分見に行ってしまう気がします。
これは、お祭りなんです。
僕らは寿命短い小賢しい人間だから、せいぜい桜に振り回されて、楽しむのがいいんですよ。笑
想像してごらん。満開の三春滝桜を(「イマジン」がながれる)……。
……ということで、過去の記事も載せておきます。是非ごらんになってください。
二年前
すごく開花が早かった去年