2019/02/19//Tue.
巨樹を訪ねる 鹿島神社のやどり木
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K-1 mark2 / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR / FA35mmf2

 2019年になり、さて巨樹初めはどこにすべきか……もちろん考えます。
 しかし、有名な神社仏閣に巨樹を訪ねに行くということは、この場合、自滅行為。
 to-fuさんと動こうとなったのは1月3日、まさに初詣真っ盛りです。
 有名どこに固執していたら、我々はその日ずっと小型テレビで駅伝でも見て車中の人で終わっていたでしょう。

 行く前からそうなることがよくわかっていたので、あえて知名度が低いところを選びました。
 行かない、三ヶ日くらいはおうちでゆっくりしてる、などという選択肢はないのです。

 しかし、この選択が、またとない個性的な巨樹との出会いを招くこととなりました。
 個性的……というか、キワモノすぎるぞ、これ。
 お正月の一番最初が、これでいいのであろうか……茨城県稲敷郡阿見町の「鹿島神社のやどり木」です。


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 茨城県阿見町は、霞ヶ浦の西側ののっぺりとした土地にあり、ゴルフ場以外には特に何にもないところですが……近年、アウトレットモールができました。
 なんせのっぺりした地形ですので、向こうには身長120メートルという巨大仏、「牛久大仏」が見下ろしていて、はっきり言って怖い。

 目指す巨樹は、阿見の町中……と言っても静かなものですが……そこにひっそりと存在している神社にあるそうです。
 ここには初詣の気配は一切ない。
 心落ち着かせて巨樹に向かえることが明らかなので、我々にとっては好都合です。
 思ったよりも小さくない鹿島神社。

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 お正月ですし、ひとまずお詣りしてから始めます。
 今年も無事に、良い巨樹に出会えますように……って、こちらさんにお願いしても良かったもんですかね。
 神様も困っちゃうんじゃないかな。

 まあ、ともかく、全くの間違いってわけじゃない。はず。
 すぐ横に問題の巨樹がそびえ立っているわけですからね。

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 最初におことわりした通り、第一線の有名な巨樹ではない。
 大きさとしても、杉の巨樹で5メートル台というのでは、ありふれていて、コンテンツやページの間に埋もれてしまうでしょう。
 しかし、実際にそばで見てみると、すごくまっすぐで、肌が綺麗。
 思ったよりいい杉だ……とか言ってしまうんですけどね……

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 いや、しかし……。
 この隠しきれない違和感は何なのでしょうか?
 よく観察していただきたいのですが……この樹の奇妙さ、いや、言ってしまえば奇怪さを、あなたは感受することができますか?

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 ああ、もう手遅れかもしれない……。
 その事実に気づかずに、「それ」にこんなに近づいてしまっては……。

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 感じませんか、この違和感……まだ気づきませんか?
 それなら問いますが……杉の、そんなところからこんな風に枝が出ているのを、見たことがありますか?
 しかも、杉の葉っぱというのは、こういう感じのものでしたっけ?
 おかしいと思いませんか?

 まだ、お分かりにならない。
 では、もう、その目で実際に見るしかないようですね……。
 ありのままを……後悔しても知りませんよ。
 そーっと、杉の巨樹の裏手に回っていってください……すると……

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!?
 こ、これって……一体、何なんすか、これ……!?

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 いやほんと、こっちが訊きたいくらいですよ!
 ああ、ええ、スダジイ? スダジイがスギの幹に生えちまってるの?
 知ってるよ! 読んだよ、そんなのは事前情報で!

 なんだか、とってもとんでもない状態だってことはそこにも書いてあったように思いますが、実際見て、こんな、思わず後ずさりするようなビジュアルだとは!
 ほんとに、これ、お正月ですよ!?(関係ない)

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 あああ……。
 見れば見るほど唖然とします、あまりにも……こんな形相はあんまりだ。
 エイリアン的というか……エイリアンそのものじゃないですか。
 ちょうどいいスペースに種子が落ちて育ってしまいましたという「着生」なんて生易しいもんじゃない。
 これは「寄生」、どう見たって「寄生」だろ!
 スギの肉体を引き裂いて這い出てきたんだよ、こいつは。チェストバスターだよ!(映画「エイリアン」)

 変な演出で盛り上げようとしたのは確かですが、ここまでこんな……。
 真下に行ったらいきなり飛び掛かられて頭の中の空洞(空洞があるらしい)にタマゴ産み付けられちゃうんじゃねえか、ほんとに警戒しますよ!
 結構でかいんですよ、腕から腕(もう腕としか言えない)で測ったら7、8メートルはある。
 同行のto-fuさんも、三ヶ日からこんなのに引き合わされちゃって、ドン引きしてましたよね……。

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 やばいやつです。
 そうとしか言えない。

 関東にあるオモテスギはまっすぐで、スダジイは時にグロテスク。
 両極端ながら巨樹の代表選手同士である両者が組み合ってしまった時、こんな正気を奪うような光景が出現してしまうとは。
 バギバギバギッ! と宿主の体を食い破りながら、スダジイの樹冠はかなり豊かになりつつあります。
 真下で見上げると、ほとんど視界全部を覆ってスギの葉は全く見えない。
 食い込んだ幹の中には、すでにスダジイがいっぱいに詰め込まれているのではないでしょうか。

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 しかし、離れて見てみると、そんな半死半生であるように思える宿主のスギも、そこまで悪い状態ではないようです。
 大丈夫だ、ちょっと噛まれただけだ……とかって、ゾンビ映画の憧れのシーンですが(?)、ある日いきなりドバッとスギの樹皮を脱ぎ捨てて、巨大なスダジイになっちまうんじゃないか……。

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 二人羽織です……。
 全く、見るものの血圧を上昇させ、正気度を低下させる恐るべき巨樹でした。

 禍々しい……そんなことを御神木に向かって言うべきではないでしょうが、つまらない人間の正気の範疇からしてみれば、これは明らかに狂気を孕んでいます。
 光景としても、生態としても……。
 こういう常軌を逸したものから、エイリアンやプレデターも想像されたんでしょうね、きっと……。
 (ちょっと頭が悪くなっている)

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 解説板。
 阿見町の天然記念物に指定されていますが、スダジイの方が「やどり木」として指定されており、スギは対象になっていないようです。
 巨樹としては幹周で見ることになるので、杉を計りますが……変な話です。
 それにも増して、なんと、このシイの他に、サクラ、イチョウまで宿っていたという。
 なんという因果なスギなのでしょう。
 他のものは息絶えたらしいですが、もしかしたらこのシイが捻り潰したのかも……宿主を独占しようとして……。

 もっと有名であれ、とはちょっと大っぴらには言えないような巨樹でしたが、見る価値は十分すぎるほどにありました。
 異種合体樹や着生植物について見る機会は多くありますが、今後目立つものを見るたび、この「やどり木」のことを思い出すことでしょう。
 いや、夢に見ると言った方がいいのか……自分の背中を突き破ってこういうモノが這い出してくる、みたいな……。
 そんな初夢は、ほんとうに嫌だ。


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「鹿島神社のやどり木」
 茨城県稲敷郡阿見町吉原 鹿島神社
 樹齢:500年
 樹種:スギ/スダジイ
 樹高:28メートル
 幹周:5.4メートル

>> 2019/02/20 14:49
こうして見ると改めて何なんだこいつは!と思いますね。何このエイリアン!
ホント、この脊髄の辺りにズブっと食い込んでる感じといい手足(触手か?)を広げて体にしがみついている様といい、これが御神木で本当にいいのか?と問いたい気分になってきます。この巨樹なんて遠方の僕からするときっと数値だけナナメ読みしてスルーしていたに違いなく、正月早々こんな巨樹をセレクトして下さった狛さんは目の付け所が違う、やべえ奴だなという印象がますます強まった次第です 笑 あ、褒め言葉ですよ?

しかしこのスギがまた普通に良い巨樹なんですよねえ 笑
どうしてもスダジイ・エイリアンに美味しいところを持っていかれる運命にある悲運の巨樹ですが、スダジイ抜きにスギだけを見てもあれはなかなか良いスギだったと思います。きっと実測したらもう少し太いんじゃないですかね。
>> 2019/02/20 20:01
to-fuさん>
ちょっと編集するまで写真を放っておいたんですが、改めて見て、なんだこりゃあ、やべえぞ、ってなりました。汗
ど真ん中から出てきてて、杉を抱え込むように両腕を伸ばしていて……出来過ぎのスタイルですよね。
エイリアンとか昆虫タイプのモンスターが大好きな人にはたまんない造形なんじゃないでしょうか……。
何もここまでやらかす必要はないのに。。

茨城も本当は北に出かけたいところですが、霞ヶ浦周辺でも、この樹は特に関心を引きました。
しかし、お正月にコレかよ……というのは本当に申し訳ない、自分でもちょっと後悔しましたよ。
強烈ですよね、これは……植物っておっかねえなと思います。正直ビビりました……。

確かに確かに、こうして見ると、数値以上の太さがありそうな杉ですよね。
綺麗だけど乾いた感じの肌、枝の質感などを見ても、樹齢500年というのも頷ける樹だと感じました。
いくつもの変な連中に宿主にされてなおまっすぐ生き続ける姿は立派だと思いますが……あえて言いたい、「こいつはもう手遅れだ」。
とか。ホラー映画好きの心をくすぐる巨樹だと思います。笑
>> 2019/02/20 22:05
狛さん

正月早々、こんな奇怪なものを見せられたら寝込んでしまいそうです(笑)。
狛さんが感じた印象が良くわかる記事で、いつも以上に熱く語られているようにさえ思います。
その印象が写真にもはっきりと表れていて、どれを見ても奇怪としか・・・実物は見たくないなぁと(笑)。
そういう意味では、目にした時の印象をそのまま表現するという写真道の完成域に達したとも言えるでしょう!
気になって他の方のブログをチェックしてみたら、狛さん達が感じた印象と大違いでビックリ。
背中にしがみつく幼児のようで微笑ましい・・・とありましたが、それは9年前のことみたいなので、
その間に幼児がエイリアンに突然変異しちゃったんだろうなぁと想像して更に怖くなりました(笑)。
>> 2019/02/21 09:19
RYO-JIさん>
よりによって正月、それも一番にコレを見に行ってしまいました。笑
おめでたい感じの巨樹はもちろん見に行きたいですが、ひっそりとしたこの神社でこんなキワモノと相対するのも普通ではない感じで、今年は何か起きそう、と思うのでした。

個性が強烈すぎるので、撮るのは簡単でした。
こういう風にしか紹介するイメージが湧かなかったんで、それに向かって一直線になっただけなんですが……思惑通り伝わってよかったです!
巨樹にはいろんな見方や、二律背反的な感想や意見が出ても当然だとは思いますが……これに限っては、微笑ましいってのは、そりゃおかしいですよ。笑
こんなやつですよ? 正直言ってキモいじゃないですか。
モンスター的なかっこよさに痺れる、というところはありますが、B級映画好きの感性ですよね。笑

これに引っ掛けた縁起の良いお話……もなかったですね、そういえば。
見た目がこんなだからかもしれませんが、もし見にくる方がいたら、どんな反応を示すのか、ちょっと楽しみではあります。
巨樹の超越性、とんでもなさを、別の面で感じさせてくれる個性派でした。








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