2019/02/06//Wed.
巨樹を訪ねる 青龍観世音堂のヒノキ
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K-1 mark2 / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR

 ちょっと衝動に従ってしまったせいで、実際の道順と異なった順序での掲載になりましたが、南会津巨樹行、今回の1番手は、実はこちらの樹でした。
 南会津地方自体は前にも出かけたことがあったので、他にはどんな樹があるのかなー、と事前リサーチを行っていると……
 えっ、ヒノキで目通り幹周7メートル!?
 と、ちょっとびっくりするような数値で目を引いてきたのが、この巨樹でした。
 会津への峠の入り口というような印象の天栄村にある、「青龍観世音堂のヒノキ」です。


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 真っ平らな稲作地帯の向こうに白く染まった山の姿を望みながら広大な天栄村を走り、牧ノ内という集落まで来ます。
 集落の中に入ることになりますが、竜生(りゅうい)という難読な地名の指す方へ。奥に同名のダム湖があるようです。
 ほどなくして集落の中で突き当り、そこに車を停め、進んで行くと、観音堂と、明らかにヒノキからなる茂りが見えて来ます。

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 探訪に先駆けてリサーチすると、バイク乗りの方などが訪問記を上げておられるのが何件か見つかりますが、どれもあっさりしており、果たしてこれを頼りに見つけられるかどうか、ちょっと不安でした。
 ストリートビューを睨んでぐりぐり行ったりきたりするうち、この背の高いヒノキの群れが見えてきたので、ここに違いあるまい! と……。
 この辺、見つかるかどうかわからないパーセンテージを含みながら片道150キロくらいを走るというのは、神経質な方には向かないクエストかもしれません。

 が、幸い、(今回は)どうやら読みが当たったようです。
 これまでの経験によって、ははあ、これはあれだな……とか、勘が働くようになって来た、とでも言いましょうか。
 まあ、もっとヒントが少なくても、とりあえず出かけて行ったでしょうけどね。
 観音堂を目印に進んでいくと、一本だけ、明らかに他よりも太いヒノキの幹があることに気づきます。

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 これが「青龍観世音堂のヒノキ」の立ち姿。
 なるほど、確かにこれは大きい! 「本当にこれがヒノキ!?」と声を上げてしまいました。
 杉の巨樹ともいい勝負ができる、迫力ある巨樹ぶり。

 ヒノキは杉と並んで、建築用材として重要な樹種ですが、大きくなるという点で言えば、杉の半分ほどにしかならないという印象です。
 巨樹の認定ラインを超えてるものはもちろんたくさんありますが、例えば、見応えある杉の巨樹が「幹周囲10メートル、高さ40メートル」だとするところが、ヒノキの巨樹は良くて「幹周囲5メートル、高さ20メートル」といった感じ。
 その中にあって幹周囲が7メートルを超えるなんて……これはかなり珍しいと言わねばなりません。
 協会の樹種別ランキングを参照すると、細かくは間のランカーが出てくる可能性があるかもしれませんが、全国でも6位か7位に入る大きさだと言えそうです。

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 以前の旅で、岐阜県下呂市の「おヒノキ様」こと「坂下(さこれ)の十二本ヒノキ」を訪ねましたが、あの方のような完全なオバケ(失礼です)ではなく、単幹でありながら、しかもさらに大きい。
 これはすごいことですね。

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 しかしながら……こうして実際に見に来てみると、幹は随分複雑な様相を呈しており、この樹も普通の樹ではないのでは? と……つまり、合体樹である可能性を考えます。
 先端に行くに従って、それぞれの枝が別の意思を持ったかのようにうねっています。
 かつて別の個体であった名残なのか、はたまた、長寿を生きるうちに野生が発現した姿であるのか……。

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 しかしながら、根本は見事に一体化していて、たくましい。
 この根張りも、ヒノキのものとはとても思えないような太さです。
 これを見ると、俄然単幹の樹だと信用したくなってくる……みなさんはどちらだと思いますか? 笑

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 回っていくと、根元に大きなウロが。
 結構深そうで、内部のコンディションも気になってしまいます。

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 改めて違う角度から見上げてみると、上部の方でも穏やかでない破壊が起きていることに気づきます。
 丸く空いているのは、キツツキに空けられた穴か。
 これもあまり多いと、雨水が入って腐朽や空洞化を起こし、樹が倒壊するような致命傷に繋がるようです。

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 この箇所の具合をみると、ちょっと「健やかだ」とは言いがたくなってしまう……。
 大穴が空いている上、組織の分解も進んでいるようです。
 かなり上空の方なので、いきなりその上がバキッとこないか、見上げていて不安になってしまう眺めでした。

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 しかし、そういった傷や不調を乗り越えようというかのように、幹はいくつもの候補を発達させ、葉の緑もより多くつけるように頑張っている。
 そんな感じがしました。

 いくつも巨樹を巡って来ましたが、いまだヒノキの巨樹は2本のみ。
 巨樹としての魅力を強く発散してこちらを呼び寄せるような樹がいまいち多くない……というのが本音ですが、こうして巨樹としてのヒノキの前に立つと、スギとはまた決定的に違う印象を伝えて来るものです。
 この樹に長生きして欲しいと願うと同時、また別の魅力的なヒノキの巨樹も見つけて訪ねてみたいなあ、とも思いました。
 どうも、ヒノキの巨樹は一癖持ってそうだから……。

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 解説板……なんですが、すごく残念なことに。笑
 しがみつくようにして読んでみるに、この地が名だたる名馬の産地であったということや、ゆえにこの青龍寺の観音堂が馬頭観音をまつったものであること、などが書かれています。

 「境内には樹齢八00年といわれる大ヒノキがあり、根元は空洞ができ腐食も進んでいるが、
  いまだ樹勢衰えず幾星霜風雨に耐え亭々と聳えている
  神樹であり、県の緑の文化財にも指定されている」

 ……というのが、肝心のヒノキの部分でした。
 昭和六十年に設置された看板の文句がこれなので、もう35年も前から健康状態を心配されてきたようです。
 丈夫で虫や菌にも強いヒノキだからこそ……というところかもしれませんが、樹の健康管理と一緒に、解説板もそろそろ修理してあげて欲しいものですね。
 ぜんぜん、読めないですもん。笑


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「青龍観世音堂のヒノキ」
 福島県岩瀬郡天栄村牧ノ内
 樹齢:800年
 樹種:ヒノキ
 樹高:25メートル
 幹周:7メートル
>> 2019/02/06 19:31
ヒノキの巨樹は昨年末に初めて2本訪問しましたが、スギとはまた違った魅力がありますね。
スギほどの実直さが感じられず、もっとわがままに育っているような印象を受けました。
サイズだけで見るとどうしても後回しにしてしまいがちですが 笑

いや、これは良いヒノキですね。細かな枝がまるでイバラのようでモノクロ映えしそうです。
本当に見る角度によって単幹にも見えるし、確かに合体樹のようにも…仮に合体樹だとして、何本も束ねられた合体ヒノキって全国の色々なところに存在しますよね。ヒノキは束ねて植えるべし、みたいな考えが全国的に広がっていたのかな?などと想像すると、それはそれで非常に興味深いです。

しかしこのヒノキが無指定ですか…僕が先日訪問した岐阜県の立派なヒノキも無指定だったんですが、どうも軽く見られているようで可哀想ですね。遠目に見るとスギと似ているからなんでしょうか。木材としては超有名人ですが、ヒノキさんの文化的価値についてももう少し見直していただきたいところです。
>> 2019/02/06 21:25
根元部分を見ると明らかに単幹だと思うんですが、上部を見ると『う~ん・・・』。
それでも単幹説を推したいと思います。
理由は、特にありません(笑)。
しいて言えば、そうであって欲しいという想いだけです。

まぁどっちにせよ、貴重なヒノキであると言わざるを得ないですね。
ヒノキの巨樹の植物学的価値を理解して見ると一層有難味が増しますね!
ヒノキ未経験の自分は興味津々で拝見させてもらいました。
>> 2019/02/07 09:09
to-fuさん>
大きさは小ぶりですが、古来から用材という意味でも、神聖な面においても、杉にひけをとらない地位がありますよね。
ヒノキを御神木としていることが少ないのは、やはり大きくならず、神社再建の材料にするにも複数の本数を必要とするからではないか……などと。
合体樹が多い、あるいは束で植えているパターンが多そうなのも、この点に理由があるのかもしれませんね。

……にしても、結構、レアですよね。ヒノキの巨樹って。笑
個人的な印象としては、古い本を調べて気になっても、すでに切られてしまっているケースもありましたしね。
この樹もかなりの個性派だと感じましたし、フォルムや周囲状況なども絡めて、これから注目してみようと思いました。
>> 2019/02/07 09:35
RYO-JIさん>
根元の一本化ぶりは立派ですよね。
ほんと、これがヒノキだとは思えないようなたくましさでした。
おヒノキ様の多頭ぶりをみてしまうと、こちらには単幹という路線で頑張ってほしいと思うところです。
……って、勝手な人間たちの期待! 笑

御神木としての珍しさで言えば、スダジイやタブノキより少ない、ビャクシンとどっちが多いだろうと……マイナー好きな身としては気になる存在感です。
RYO-JIさんも身近にあれば、ぜひお訪ねください。
どでかい迫力はないですが、ちょっと面白いと思うんです。








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