巨樹を訪ねる 越沢稲荷の大スギ

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K-1 / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR

 ときがわ町巨樹三番手は、杉です。
 ひもかわうどんを食べ損ねた「椚平(くぬぎだいら)体験交流館」から数百メートル歩くと、行く手に立ちふさがるように立つ大きな杉に出会うことができます。
 「越沢稲荷の大スギ」です。
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 いや、実際に立ちふさがっているわけじゃないですけどね。ちゃんと通れます。
 それより手前には、バス停があります。
 ……ん? バス停?
 僕の車が入って来れなかった山道なのに、バス停?
 他に抜け道があるとか?

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 ……って、よく見てみると、なんだこりゃ、山猫電鉄?
 どうやらご当地が観光の方のために用意した演出のようです。
 なんというか? トットロ? 
 ご丁寧にちょっとした机や椅子まで置いてあって、猫バスに乗れちゃうよ、とか? 笑

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 オカリナふいてる〜、というのはいいとして笑、これがその大杉本体の姿です。
 山道にずいっと身を乗り出すようにして生育する、幹周6メートル超えの杉。
 普通に通ろうとしても肩が触れるような距離で見ることになるため、一層立派に見えます。
 姿形的には、これはもう疑いようもないストレートな杉、表杉のテンプレートのような綺麗な立ち姿ですね。

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 気配がして左を振り向けば、由来となっている小さなお稲荷さん。
 正直、前述のようなバス停なんかは、下手をすればとてもわざとらしくて鼻につくような気もするのです。
 リサーチの段階でもこのバス停と周囲の雰囲気が、わージブリめいてる! みたいな感じで話題になっているのを見かけました。
 硬派な僕としては、ふん、ハッピー連中め、などと思っていたのですが、現地で実際に大杉とお稲荷さんとを見て、周囲の雰囲気を実感してみると、なんとなくこういう愉快なことをしてみたくなる気持ちもわかるように思いました。

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 古いお稲荷さんが発する暗くて神秘的な空気と、まだ若くてどんどん育つ気を感じさせる巨樹の生気が、程よいコントラストとなっているんですね。
 そこが、トトロの映画の中に描かれていた世界観ともマッチしていると見えるのでしょう。
 ちょっと怖いけど、実際は悪いもんじゃないんだよ、というような。
 確かに、まだ小さかった頃にはこういう陰陽の対比にはとても敏感で、どこででも、何度でも、それを感じたように思います。

 暖かさを感じる樹皮に触れながら考えてみるに、この場の雰囲気が成り立つためには、巨樹が放つ陽の気がいくらか勝っていないといけない。
 暗さが勝ってしまうようでは、そっちに引っ張られてしまいますからね。

 そんな深読みをするまでもなく、この樹の活き活きとした感じは鮮烈な印象を残してくれます。
 幹はまっすぐ、葉は青く、枝が折れた様子もない。
 樹皮は厚く美しく、キラキラと樹脂の粒を浮かべている。
 これまで見た中でもトップクラスに健康で美しい杉の巨樹でした。

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 表杉の代表的な、と書きましたが、見上げてみると、大枝には少し野生が垣間見られるところもある。
 横に伸びてから垂直に立ち上がっていたり、植林される杉の範疇からは、やはり大きく飛び出しているように見える。
 ある一線を超えて樹は巨樹となる。
 そう語っているかのようです。

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 長大な枝を地面すれすれにまで伸ばしているところも特徴的です。
 枝を切らず、また折られずに長年生きてきたことを物語っていると思います。
 葉がすごく濃いので、下に入ると、傘の下のようにかなり薄暗く感じます。
 それがまたお稲荷さんに対する空気作りになる。
 小さいお稲荷さんなのに、立派な御神木を抱いておられるのですね。

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 下を通る道から見上げて。
 まだまだ大きく育ちそうな杉です。
 何百年後か、大きくなりすぎて道が通れなくなるとか……そういう絵を見てみたいものだとも思いました。
 その時も、この小さなお稲荷さんに在って欲しい。
 狭い位置関係ゆえの陰陽のコントラストを、通る者に感じさせて欲しい。
 そう思いました。
 
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 解説文。
 ごく一般的な杉の樹種の解説になっていますが、まあ、杉のお手本のような樹ですから、良いと思います。
 計測から15年以上経っているので、今ではもう少し大きいかも。

 ここのお稲荷さんのいわれについては……よくわからないのかもしれない。
 あそこに、小さなお稲荷さんと大きな杉があって……と、その印象だけが地元の人たちに記憶されてゆくのでしょう。

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「越沢稲荷の大スギ」
 埼玉県比企郡ときがわ町椚平
 樹齢:400年
 樹種:スギ
 樹高:25メートル
 幹周:6.2メートル

4コメント

to-fu  

え?バス通れるの?埼玉県民すげえ!なんて思いましたが、そうですよね。通れるわけないですよね。
しかし正統派なスギを久しぶりに見たような気がします。好き放題伸ばした枝といい、良いですね。
自由に生きてるんだなあ、良かったなあと見ていて安心できます。
山道ってたった数百メートルでも結構ハードですよね。普通に息切れします。これが見えた瞬間はテンション上がるだろうなあと妄想が膨らみました。

2018/08/31 (Fri) 19:32 | EDIT | REPLY |   

RYO-JI  

一見していいスギだと思いました。
この道はどこまで続いているのかわかりませんが、周囲のモリモリの緑と比較しても、
随分としっかり踏み固められていることから人の往来が多そうですね。
小さいながらもお稲荷さんが地元の人にとって身近な存在なのかなぁと推測したり。
だからこのスギも陽の気がする美しい姿なのかも。
まぁ勝手な想像です。
ヒューマンスケールの狛さんの表情にこのスギを見た印象が表れていますね!

2018/08/31 (Fri) 22:27 | EDIT | REPLY |   
狛

狛  

to-fuさん>
ジムニーバスなんだろうと思いましたよ! (うそ、この演出は知ってた)
そうですね、最近の探訪を考えてみると、ウネってたり合体してたりで、こうした1本杉は久しぶり感があります。
幹周が太過ぎてもなんだかバランスが変わってしまって、この感じは出ないんですよね、また。
山道自体は呑気に歩ける程度のものでしたが、なかなか姿が見えず、演出的にはバッチリでした。笑

2018/09/01 (Sat) 15:24 | EDIT | REPLY |   
狛

狛  

RYO-JIさん>
このまま林道として山奥に通じてる道らしいのですが……そうですね、埋もれていないところを見ると、集落でもあるのかも。
歩いて行くと、必ず杉の枝の下を通ることになり、杉本体とおいなりさんを拝む形になる。
それこそ絵に描きたいようないい位置関係でした。
見る前には余計な演出してんじゃねえよ、と思ってましたが、この感じが次第に楽しくなって、途中から歌ってましたよね。
歩ーこう歩ーこう、わたっしは元気ー!

2018/09/01 (Sat) 15:27 | EDIT | REPLY |   

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