西日本長距離車旅 鞆の浦でレトロレンズを取り出して

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iPhone7

 道具好きの写真撮りのくせに、とーーーーっても久しぶりにカメラネタを書きます。
 とても久しぶりなので、ドキドキしています。
 こういう、初恋のような感覚をいつまでも大事にして行きたいな、なんて(照)。
 ついて来られない人をいっぱい出しそうな回。
 鞆の浦では久しぶりに楽しい路地彷徨ができる気配だったので、レンズをゆかいなものに交換して撮ってました。
 高精細な写りを約束してくれるデジタル専用設計レンズを外し、取り出しましたるはマウントアダプター。
 そして、その歴史の古さとキワモノ揃いな点からも一眼レフレンズ界のカンブリアン・エクスプロージョンと呼ばれている(昨日から僕が呼んでいます)、M42スレッド・マウントレンズです。
 すごいことに、これらレンズのマウントはただのスクリュー(つまりネジ)です。
 ぐりぐりねじ込んでカメラに固定するだけで、カメラ本体とは一切やりとりをしません。
 だからこそ、最先端のデジカメにおいても変わらぬ(不便な)性能で使うことができるのが良いところ。


 無駄に色々持ってるんですが……今回連れて来たのはこの二本。
 上がカール・ツァイス ウルトロン50mmf1.8。
 ウルトロンてのはフォクトレンダー社のレンズなのに、ツァイスが作ってるという。
 まあ色々あって(買収)、しかも一眼レフ黎明時代のレンズなんで設計が強引で、第一レンズがおわんみたいな凹レンズになっているという。
 そのせいかどうか、被写界深度が他の同クラスのレンズと比べても明らかに浅く、1.8と2.8の間の距離がやけに長い。
 絞りは変な形だし、ぬるぬる動く無段階絞り。
 変態っぽいですが、しかし写りは非常にシャープで解像感が高く、フルサイズ一眼レフでも全く不足を感じません。

 歴史と技術進歩のいざこざが産んだような短命の傑作変態レンズで、撮ってるうちに癖になっちゃうようなところがあります。
 持っている標準レンズの中で一番好きかも……と、このブログの中にあるウルトロンさんのタグを追ってってみたら、初登場が08年の11月なんで、僕は飽きもせずこのレンズで10年も遊んできたということになります。
 ちなみにコレが西ドイツで世に出たのは1968年なんで、もうすぐ満50歳。

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 でもって下が、タクマーの角フードなんかつけられてますが、これも腐ってもツァイスのディスタゴン 35mmf2.8。
 ……なんですが、こっちも、名前こそディスタゴンですが中身はスコパレックスというフォクトレンダーのエレメントらしいです。
 まあ色々あって(買収)、このレンズの時はツァイスでしたが、ツァイスとフォクトレンダーはその後ローライと色々あって(買収)、ローライからプラナーが出たりツァイスからウルトロンが出るけど中身はプラナーでしかもシンガポールで作ったり、ぐちゃぐちゃの混沌ビーフシチュー状態、あんこく時代に陥ります。
 ちなみにその後フォクトレンダーは、カメラ好きの人なら知ってますね、コシナという日本の会社に買われたので、今は長野県で作ってます。
 世界最古のカメラメーカーなのに、色々あった(買収)んですね。

 そういうレンズですが、だからと言ってパチモンくさいわけでは全然なく、元の出来も大変いいレンズなので、安定したいい写りをします。
 階調がとても豊かで、カラーで撮ると時に色がすごく淡くなっちゃう時があります。
 昔、このブログに来てた方がいみじくも「ミルキーな色」と言われましたが、確かにそんな感じがする。
 デジカメでは色んな補正が効くのであんまりおかしな感じにはなりませんが、よく写ることは確かなので、ツァイス・イェナのフレクトゴンとともに実用頻度の高いレンズです。


 こういう個性的な単焦点レンズは好きさ。
 最新のズームレンズなんかとは使い心地も全然違うし、気分も高まります。
 写りだって、補正が効くと言っても、これくらい違うとアクや癖が滲み出てくる……。
 雰囲気出るといいな。

 で、どうして長旅にこういうのを連れ回していたかというと……
 やっぱり、出会いが欲しかったんでしょうね。
 旅先で、こういうレンズを持ち出したくなるような景色に出会うことを望んでいたのでしょう。
 鞆の浦に来たことで、それは一応叶ったと言っていいと思いました。
 贅沢なオプショナル・ツアーよね。
 自分以外の人になかなか贅沢だと伝わらないところが最高に贅沢です。
 

4コメント

to-fu  

最新テクノロジーの塊のようなズームレンズは確かに便利なんですが、写欲がムンムン沸き上がるような古い街並みなんか見かけると、やっぱりピントリングをぐねぐねこねくり回しながら時間をかけて撮り歩きたくなりますよね。ゆったりした街歩きには不便なMFレンズが一番馴染むと思うのです。

2017/12/21 (Thu) 10:28 | EDIT | REPLY |   

NOBU  

こんにちは

 狛さん、こんにちは。

 カッコイイですね。
 K-1とクラシック・レンズの組合せは渋いです。

 フォレスターも渋い選択です。弟がお気に入りの13年落ちのレガシィにいつも乗せてもらっています。

 鞆の浦は阿呆な計画(湾内に道路を作る)をとりやめたと聞きます。大林監督の「野ゆき山ゆき海べゆき」のロケ地です。迷子になって楽しかった事を思い出します。

2017/12/21 (Thu) 21:14 | EDIT | REPLY |   

狛  

to-fuさん>
そうそう(笑)、フィルムカメラでそうして楽しんだ感覚が忘れられないんですよね、結局。
何を探し歩いているわけでもないのですが、結果としていっぱい拾っている。
きれいな屑だか破片だか欠片だかでポケットがいっぱいになっている幸福。
それらを街からちょっとばかし剥がすのに必要な道具がこういうのだったりするのかもしれません。
良い寄り道でした。

2017/12/22 (Fri) 20:09 | EDIT | REPLY |   

狛  

NOBUさん>
こんにちは、ありがとうございます。
渋い趣味のわたくしです(笑)。
古いレンズをそのままの画角で使えるというのが、K-1を買った動機のひとつでもあるんですけど、使った感じはかなり良好です。
この組み合わせはとても楽しく撮れます。
フォレスターも似たような感じで、見た目よりも道具として優れているという点が気に入っています。長距離運転しても疲れないし、いろんなところを難なく走り抜けてくれます。
スバル好きな人はほんと長く乗りますよね。レガシィ、きっと運転してて楽しい車なんですねえ。

広島の写真とNOBUさんの大林映画のコメントが揃うと、たちまち特有の雰囲気が辺りに立ち込めるかのようです。
遠いですが、ぜひNOBUさんも再訪ください。

2017/12/22 (Fri) 20:17 | EDIT | REPLY |   

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