巨樹を訪ねる 八幡のケヤキ

K-7 / DA 21mmf3.2
DP2 Merrill / 30mmf2.8
南会津を山深い方へどんどん登って行き、もう少しで有名な大内宿に至るという集落に、現状、日本で第二位というケヤキの巨樹「八幡のケヤキ」があります。
(参考:09年に訪れた大内宿)
長い上り坂とカーブの先にこの巨大な幹が現れた瞬間、二つの衝撃が走りました。
ひとつは見間違えようのないものに出会ったという強い確信。
そしてもうひとつは、それとは真逆に、見間違っているのかと思うかのような、その樹の巨大さに対する驚愕です。

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個人のお宅の目の前に立っているのですが、自分の家の前にこれだけの巨樹があるというのは、なんとも……どういう感じだろうな、なかなか想像できるものではありません。
興奮しながら撮影していると、お宅の旦那さんが出て来たので、そのままの感じで「ものすごい樹ですね!」と伝えると、にこやかに撮影を勧めてくれました。

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この樹皮の紋様、間違いなくケヤキのものですね。
こぶがあったり、全体的なシルエットとしても丸みを帯びた印象を受けます。
これまで見て来たケヤキの巨樹には、みんなそれぞれ違った個性を感じます。
それがケヤキという樹の特徴なんだろうなと思っています。

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幹周、目通りで12メートルという驚くべき太さ。
巨樹の「大きさ」というのは、一般に人間の目の高さに近い1.3メートル程度の高さで計った太さで評価されることになっています(樹高ではない)。
逆に言えば、そこさえ太ければランキング上位になってしまうということもあり、中にはちょっと不公平な例も見受けられます。
例えるなら、人間で言うウェストのくびれみたいなのがある樹の場合、その上の部分がいくらグラマラスでも順位が低くなるということ。
八幡のケヤキのすごいところは、擬人化した場合のそういうナイスバディとはほど遠い、全くの寸胴スタイルであるところ。
根元が太いというのみならず、アイレベルでの12メートルという巨大な太さのまま、太く太く成長し続けているのですね。
樹のすぐそばまで寄った時、壁のような一本幹が立ちふさがるこの感覚。
大きさ比較のために置いたK-7がまるでマッチの箱のように見えます。

ちなみに全国第一位のケヤキの巨樹は、山形で出会った「東根の大ケヤキ」。
巨大すぎてもはや岩山のようでしたが、こちらは樹の姿のままに(というのも変ですが)大きくなったという印象。
身が詰まっていて、すごく重量がありそうです。

樹齢は950年以上ということですが、朽ちたところや損傷したところもなく、葉もみずみずしい感じがしました。
道路の上に、こんもりと大きく傘のような枝を広げています。
周囲の環境もさっぱりと整頓されている印象で、この樹をシンボルとして風景が形作られているようにも見えました。

ハイ、樹と。
横に立ってみると、その太さがますます際立って見えます。
幹周12メートルというのはやっぱりものすごい太さです。
楠が少ない東日本にあって、杉と並ぶ巨樹の代表格であるケヤキには、頑張ってどんどん大きく育ってほしいものですね。

解説文。
千年近く前の豪族時代にその出生の物語があるようです。

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「八幡のケヤキ」
福島県南会津郡下郷町
樹齢:950年
樹種:ケヤキ
樹高:36メートル
幹周:12メートル