晩秋 福島・山形巨樹行(4)

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 走り始めて400キロの運転席から。
 山形県に入り、いまだどこへ向かっているのか自分でも決めかねているものの、なんとなく、北上というより西向きへ進路が変わって行っているようだ。
 夜の気温などを考えてみて、これ以上北へ向かっても後がこわいと感じていたためかもしれない。

 温泉で朝風呂をもらい、日本一であろう巨大なケヤキに出会い、ついでにそのふもと街を散策もした。
 うららかないい天気で、河沿いを歩いてモノクロフィルム1本、気持ちよくスナップ撮影。
 そうそう、車であることをいいことにフィルムカメラも積んで来たのだ。
 やはりこういう気分のいい日はフィルムカメラが使いたくなるもんだから。

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 お昼前、手頃な道の駅に入る。
 食堂もあったが、コーヒーとかパンとか売ってるところで、なんと「芋煮」って書いてある!?
 そういえば忘れてた! この時期の山形ったら芋煮じゃないか、一度食ってみたかったんだ。
 昼飯は迷わずこれにする。

 あー、うまいなあ。
 このね、「あー」というのを外せない感じ、身体に染みてくるような暖かさとうまさ。
 醤油ベースのつゆと牛肉が山形流らしいけど、話によると宮城では味噌と豚肉にするとか。
 どっちが正当かで互いに正統を譲らず、「てめえのは豚汁じゃねえか」「すき焼きの残りモンが何を言うか」、どうのこうのの芋煮戦争が勃発、両県の国境辺りでは文字通り煮詰まった感じの恐ろしいマッドマックス的光景が広がっているらしい(※うそです)。
 え、どっちがいいかって?
 いやあ、僕はしがない茨城県民ですから。
 戦争よぐねえ!

 道路を眺めながらそうしたひとり芋煮会(と妄想)を楽しんでいると、誘われるのか、次々芋煮を購入する人たちが続き、道の駅はにわかに芋煮大会に。

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 ああ、巨大なナメコが山ほど売っている。
 青菜や木の実や、そんなのもたくさん売っていて、自分の住む地域とはずいぶん風土が変わったことを実感。
 おみやげに団子を買って、トランクのクーラーボックスに入れておく。
 枝豆とくるみの餡がかかってて、素材の味が強くて、うまかったな。

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 走り出してほどなく……最上川だ!
 最上川なんて、例の、「さみだれを……」の俳句でしか知らなかったので、ちょっと興奮。

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 さみだれを……と、何度か口ずさみながら最上川沿いに走ったものの、相変わらずこのままではどこへ向かっているのかわからない。
 芋煮を食って情緒が安定したのか、さすがにちょっと停めて進路を再考察。

 走行距離は400キロを超え、帰り道も当然それだけ増え続けている。
 反面、休日の残りはどんどん減ってるわけだ。
 そして巨樹という、(ほんとに一応の)目標はまだ一本。いいのあったけどね。
 「ここいらで真面目さを取り戻す必要があるのではなかろうか」
 コンビニで買ったバナナ豆乳のパックを握りつぶし、シートの上で座を正して、資料の本を開くことにした。

 ……そして、あった。
 それによると、この大河、最上川沿いに、ごく最近発見されたばかりというミステリアスな巨樹が存在するという。
 天をあおぐ。
 日はあとどれだけ残ってる?
 行くしかないだろう。


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 で、その数十分後。
 な、ん、な、んだよ、この道は!?

 本にはイラストに毛が生えたくらいの、というか、むしろつるつるの無毛というか、そういう地図もどきが付属しているものの、ちっともアテにはならん。
 巨樹写真家である著者先生(僕は本当に尊敬しているのですが)は、それではあんまりだろうと思ったのか、テキストでも道順を書いてくれてるんだけど、「しばらくいくと、左手に錆びた色の橋みたいなのがあって、ぶっこわれた小屋があるようなところの小さな横道を入って……」みたいな感じで、なんだこれ。
 いや、実際そうで、そこを曲がったんだけどさ……。

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 まったく、今回の「大丈夫かよこの道?」賞。
 ガードレールなんかとっくになくて、向こうは崖。
 またかよという気もしなくもないものの、周囲の高レベルな山中ぶりが不安を煽り、導入のあまりにも胡散臭い道案内の印象もあって、誰かに騙されているような気分が拭えない。
 大丈夫かよこれ、ブレアウィッチ・プロジェクトみたいになんねえだろうな。
 
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 見て、ここはどこでもない場所。
 ミドル・オブ・ノーホエアってか。
 道はある、しかし地図には何も映ってない。
 感想をひとことで言うんであれば、こわい。

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 タイヤを痛めつけるかのようなザリザリ山道を20分も登る。
 山はどんどん深くなっていき、樹も立派なものが目につくようになってくる。
 地図には依然何も表示されていないが、第六感的にそろそろか……という予感が差してくる。

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 そして、不意に現れた巨大かつ異形な、名もなき杉の樹が影を落として出迎える。
 目的の巨樹地帯の入り口だ。

(つづく)

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 いまこの辺にいます。
 ズームアウト甚だしすぎてあんまり価値のない地図。

6コメント

さかした  

芋煮汁の味だけはほんとに友達と喧嘩になるので暗黙の了解で味に関してはあれこれ言わないことに決めてるんです。
あ、わたしお味噌に豚肉派。
福島競馬場の芋煮汁が特に好き。
でも、山形の呑み屋で食べたお醤油牛肉の芋煮は美味しかったなぁ(結局のところどっちも好き)。

2016/02/14 (Sun) 22:15 | EDIT | REPLY |   

ラサ  

うわぁ、なんだかすごい展開になってますね。
こういうブレアウィッチっぽいところ苦手そうなのに、
よく諦めませんでしたねー
やっぱり導かれているのでしょうか。
芋煮ー最上川のテンションの上がりっぷりも伝わってきて楽しいです。
続きが気になる!

2016/02/15 (Mon) 01:03 | EDIT | REPLY |   

ぴよ社長  

いい旅ですねー^^
地元のおいしいものを食べて
お風呂にはいって、サイコーじゃないですか!
芋煮論争、そうやって言い合っていることが好き
っていう、仲の良いお隣さん同士なんですw
しかし、そこに秋田の「鍋っこ遠足」なんてものも
乱入するんですよ。検索してみてください。
きりたんぽまで入るとか・・・

2016/02/15 (Mon) 07:54 | EDIT | REPLY |   

狛  

さかしたさん>
ありますよね、ご当地の味ってのは。
うちの方でも、これはこれ、いや違う、あれだろ、ってのがありますけど、芋煮のように県をまたいでアツくなってるのは無いですねえ。
うまいからなおさらなのかな。
どっちも外しがなさそうで、うまそう(笑)。
チョイスして良かったと思いました。

2016/02/15 (Mon) 20:33 | EDIT | REPLY |   

狛  

ラサさん>
こんばんは。
なんか、こういうブレアウィッチっぽいのも数度目で、またかよ、って風に流せるようになりました。
けど、毎回焦ることは焦るんですけどね。
この時は……ただ……この後の方が……なんというか……ね。
ある意味ウィッチ的というか。
その後をごらんください。。(ちょっと待ってて)

2016/02/15 (Mon) 20:45 | EDIT | REPLY |   

狛  

ぴよ社長さん>
当地のめしとふろは欠かせないですよネー!
論争が起きるのも、自分の土地のものにそれだけ自信があるからという証拠だと思います。
しかも秋田まで参戦(笑)。
いいですね、なべっこ遠足ってのも。
車のリヤシートを改造して芋煮やなべっこができるキッチンにしようかしら。
夏でも鍋がぐらぐら。

2016/02/15 (Mon) 20:57 | EDIT | REPLY |   

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